オートデスクで AI(Artificial Intelligence、人工知能) と言うと、Autodesk Fusion(旧名 Fusion 360) で始まったジェネレーティブ デザインに代表される生成 AI が注目されがちです。実際には、それ以前から 機械学習・深層学習(Machine Learning・Deep Learning) を活用した機能実装に取り組んでいます。
2016年には、このブログでもご紹介したことがある Design Graph がありました。現在では、形状認識と検出だけでなく、モデル最適化やタスク自動化といった能力へ発展・活用も含め、Design & Make を担う各種オートデスク製品に数多くの AI 活用機能を盛り込まれています。
例えば、代表的な機能に、次のようなものがあります。
- AutoCAD スマートブロック
図面内の類似形状のジオメトリを自動認識してブロック変換する作業を支援することが出来ます。
- Fusion 図面の自動化
3D デザインから 2D 図面をすばやく生成する強力な自動化プロセスです。ミスや面倒な繰り返し作業に費やす時間を減らしながら、ワンクリックで一貫性のある事前設定された図面の作成します。
プロジェクト データを取得し、解析技術と機械学習を適用して、データをシンプルで実用的なインサイトに変換します。
機械学習、モーション キャプチャ、高度なアニメーション技術を活用して、アニメーション ワークフローを効率化します。
そして、2023年には、Autodesk AI ブランドとして AI 活用や実装を加速していくことを表明しています。

Autodesk AI の背後にあるのは、オートデスクがプラットフォーム戦略として取り組んでいる、インダストリークラウドであり、Design & Make(デザインと創造)プラットフォームです。デザイン ソフトウェアによって異なるデザイン ファイル形式による問題をクラウド上で粒状化することで克服し、必要なデザイン データのみにアクセス出来る環境が整いつつあります。

そんな中、LLM(Large Language Model、大規模言語モデル)をベースに自然言語での対話を可能にしたAI アシスタントが新たな潮流となって現れます。2022年11月に登場した ChatGPT 3.5 が話題を集めたのが記憶に新しいところです。
その後の急速な進展を経て、AI アシスタントは、入力した内容を理解して自律的にタスクを組み立て、実行までおこなう AI エージェントに発展しつつあります。
LLM と独自実装(データベース アクセスや他システム連携等)の間を橋渡しする標準化されたオープンソース プロトコル(仕様)、MCP (Model Context Protocol) の登場が、これを加速させています。
MCP によって、いままで個別に実装する必要があった LLM とツール(機能)の接続方法が共通化されて容易になったのです。言い換えれば、LLM から利用出来るツール(機能)を増やすことも容易になる、と捉えることが出来ます。

現時点でも独自に MCP サーバー構築して既存の APS をツールの実装で使用すれば、MCP サーバーをサポートする AI エージェントを介して、自然言語で特定のデータにアクセスすることが出来ます。
例えば、Talk to Your BIM: Exploring the AEC Data Model with MCP Server + Claude のような方法を用いると、Secure Service Accounts で作成したロボットアカウントのアクセス権限を管理した上で、Autodesk Construction Cloud 内のプロジェクトにアクセスが可能になります。

データにアクセス出来れば、その内容をダッシュボード化することも AI エージェントまかせで実現出来てしまいます。下図の例では、入力は「アクセス可能なACCプロジェクト内のファイルをプロジェクト別にリスト表示してから円グラフで示して」のみです。MCP サーバー実装には積算やグラフ化の機能実装はしていません。

この独自に用意した MCP サーバーは、ハブとハブ下のプロジェクトをクエリーするツール(GET /hubs と GET /hubs/{hub_id}/projects エンドポイントを呼び出す)と、 プロジェクト直下のフォルダとフォルダ下のコンテンツをクエリーするツール(GET /hubs/{hub_id}/projects/{project_id}/topFolders と GET /projects/{project_id}/folders/{folder_id}/contents エンドポイントを呼び出す)の実装を持つのみです。なお、こういったツール実装はスキルと呼ばれる場合もあります。
オートデスクも、昨年2025年9月に米国で開催された Autodesk University 2025 で、AI エージェントへの取り組みをアナウンスしています。概要は Autodesk Platform Services アップデート ウェビナー 2025 の最初のセッションでも簡単にご案内していますが、AI エージェントとしての Autodesk Assistant の更なる活用と Autodesk MCP サーバーの導入がキーになっています。
現在、アナウンスされている Autodesk MCP サーバーは次の 4 つですが、これ以外に多様な MCP サーバーを増強していくことで、AI エージェントから活用出来ることが広がっていくはずです。

具体的には、Autodesk Assistant や他の AI エージェント で入力した言葉で、異なるオートデスク製品やサービスを連携させる運用を予測出来るわけです。
もちろん、厳格なガバナンスのもと、信頼できる AI 環境実現に向けた取り組みも並行して進めています。ぜひ、Autodesk Trust Center もご確認ください。
Autodesk Platform Services は、Design & Make プラットフォームの基盤であり、MCP サーバー内の機能実装からも呼び出せることを考慮すれば、開発者にとって AI が新たな機会となるのは言うまでもありません。
線分 1 本の作図を目的に LLM に指示をする必要はないと思いますが、複数製品に跨った複雑な自動化タスクが実行出来るようにまでなれば、いままでの API カスタマイズの在り方に一石を投じることになるはずです。究極のノーコード ソリューションの可能性を秘めているのです。
今後にご期待ください。

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