Author: Takehiro Kato

  • Inventor 2027 の .NET Add-in 開発と Visual Studio 2026 ~.NET プロジェクトテンプレート

    Inventor 2027 では、.NET ベースの Add-in 開発環境が更新され、.NET 10 ベースでの開発へ移行しています。 これに伴い、Inventor Add-in 開発でも Visual Studio 2026 を利用するケースが増えてくると考えられます。 一方で、現時点では Inventor SDK に含まれる一部ツールについて、まだ Visual Studio 2026 への対応が完全ではない状況が確認されています。 今回は、その中でも DeveloperTools.msi に関する現状について共有したいと思います。 現在確認されている状況 Inventor 2027 SDK に含まれるDeveloperTools.msiを Visual Studio 2026 環境で実行した場合、 “Could not find any version of Microsoft Visual Studio” というメッセージが表示され、正常にセットアップを進めることができません。 これは、現在のところDeveloperTools.msiの Visual Studio 検出処理が VS2026 に対応していないためです。 背景 Inventor 2027 は…

  • Inventor 2027 における .NET アドインの依存関係管理 ~ UseInventorAssemblyContext の追加

    Inventor 2025 以降、Inventor アドイン開発は .NET Framework ベースから .NET ベースへ移行しました。 これにより、最新の .NET ライブラリや NuGet パッケージを利用しやすくなった一方で、複数のアドイン間で依存 DLL や依存ライブラリのバージョン競合が発生しやすくなるケースも見られるようになりました。 例えば、 といった場合に、意図しない DLL が読み込まれたり、実行時エラーが発生したりする可能性があります。 Inventor 2027 では、このような .NET アドインの依存関係管理に関して改善が行われています。 本記事では、Inventor 2027 に追加された UseInventorAssemblyContext 設定と、依存関係分離の考え方について紹介します。 DLL Hell と依存関係管理の歴史 Windows アプリケーション開発では、以前から DLL の依存関係管理が課題になることがありました。 特に、異なるバージョンの DLL を複数のアプリケーションやプラグインが共有する場合、 といった問題が発生することがあります。 こうした問題は、一般的に “DLL Hell” と呼ばれてきました。 Inventor のアドイン開発も、長い間 COM ベースで行われてきました。 COM ベースの Add-in では、Windows レジストリへの登録が必要であり、DLL の配置や…

  • Inventor 2027 API関連情報

    今回の記事ではInventor 2027でのAPIおよび関連情報について、ご案内をしたいと思います。 Inventor 2027 SDKと日本語版Help まず、Inventor 2027で、アドインモジュール等の開発に必要となるSDKおよびVisual Studio 用の.Net Wizardについては、「Inventor 2027 新規機能」にてご案内をしておりますので、こちらをご一読ください。   また、日本語版のAPI Helpについては、「日本語版 Inventor 2027 API プログラミング用ヘルプ」にてご案内をしておりますので、ダウロードして取得をしていただければと思います。 API Helpの「Inventor APIの新機能」では、Inventor 2027でのAPIの更新内容について記載されておりますので、是非一度ご確認ください。    .NET 10への対応 Inventor 2027からは、2025、2026の .NET 8の後続バージョンであるソフトウェアフレームワーク.NET 10を採用しております。 既存のInventor 2024以前の SDKを用いた.NET Framework4.8 ベースのアドインプロジェクトは、.NETをターゲットフレームワークに変更する必要があります。 また、Inventor 2025、2026向けに開発した.NET 8ベースのアドインプロジェクトについても.NET 10をターゲットとしてリビルドすることを推奨いたします。 .NET Framework4.8 ベースのアドインプロジェクトを.NET 8へのVisual Studio プロジェクトへ移植する方法については、上述の日本語版のAPIヘルプ内の「.Net Framework ベースのプロジェクトを .Net に移植する」をご参照ください。 AssemblyLoadContext とアドインの依存関係について Inventor 2025以降、.NET 8…

  • From Commands to Conversations: Exploring Autodesk Assistant in Inventor 2027

    How natural language interaction is changing the way engineers explore and validate design data Autodesk Inventor 2027 introduces an early preview of a new way to interact with CAD models—one where you can query and explore design data using natural language. With the Autodesk Assistant (Technical Preview), users can move beyond traditional workflows that rely…

  • Autodesk Inventor 2027 の APIトレーニングマテリアル

    Autodesk Inventor 2027 APIトレーニング教材一式「APIトレーニングテキスト」「APIトレーニング実習ガイドと演習&回答」及び「演習と実習用ファイル」を公開いたします。 公開されるコンテンツは、以下の2つとなります。 以下のリンクからファイルをダウンロードしてください 1.Autodesk Inventor 2027 の APIトレーニング テキスト 2 .演習の解答と演習で使用するInventorファイル群 尚、アドイン作成には Visual Studio 2026 有償版(Professionalなど)の開発環境が必要となります。また、各演習の回答マクロの他に同梱されている Visual Studio向けのプロジェクトもVisual Studio 2026 有償版(Professionalなど)を対象として作成されています。 By Takehiro Kato

  • 日本語版 Inventor 2027 API プログラミング用ヘルプ

    Inventorの新バージョンとなる、Inventor 2027がリリースされました。 Inventor 2027の API の日本語プログラミング用ヘルプ (admapi_31_0.chm)を ZIP 圧縮したファイルをポストしていますので、次のリンクからダウンロードしてください。 日本語版 Inventor 2027 に同梱されている API ヘルプは英語版オンライン ヘルプになっていて、 C:\Users\Public\Documents\Autodesk\Inventor 2027\Local Help にインストールされており、Inventorからは[ヘルプ]- [プログラミング/ API ヘルプ]より起動が可能です。 ダウンロードした日本語版の Inventor 2027 API Help (admapi_31_0.chm)で上書き保存していただければ、Inventor のメニューから日本語版ヘルプを起動することが出来るようになります。 ダウンロードして展開した .chm ファイルは、セキュリティ機能によってコンテンツ表示がブロックされる場合があります。コンテンツがブロックされている場合には、各ページが白く表示されて何もない状態となります。  ページに何も表示されない場合には、エクスプローラから .chm ファイルを右クリックして [プロパティ] ダイアログの [全般] タブを開き、右下にある 「許可する」 にチェックを入れてください。 なお、従来の CHM ファイル形式とは別に、英語版 Inventor 2027 オンラインヘルプ内に Programming Interface セクションが追加されています。 記載されている内容は 、CHM 形式の内容と同じです。なお、残念ながら日本語版のInventor 2027 オンラインヘルプにおいてもこのヘルプは英語の状態となり日本語への翻訳版は掲載されてはいません。…

  • Inventor 2027 の新機能まとめ 〜 AI・設計効率・相互運用性の進化

    Autodesk Inventor 2027 がリリースされました。 本バージョンでは、設計効率の向上、自動化の強化、相互運用性の改善といった観点で、多くの機能改善が行われています。特に今回は、日常的な設計作業の中で自然に効いてくるようなアップデートが多い点が特徴です。 なお、 Inventor 2027でテクニカルプレビュー版のAutodesk Assistantが利用できるようになっています。 Autodesk Assistantについては「Inventor 2027リリースとAutodesk Assistantテクニカル プレビュー」で紹介しています。AIアシスタントを活用した新しいCADの使い方を体験できる点が特徴です。従来の操作方法とは異なるアプローチとして、設計業務の効率化や自動化の可能性を感じられる内容となっていますので、ぜひあわせてご参照ください。 本記事では、それ以外の新機能を中心に整理します。 今回のアップデートの方向性 Inventor 2027 のアップデートは、以下の3つの方向に整理できます。 以下では、主要な機能をいくつかピックアップしながら紹介します。 パーツモデリング:スロット機能の追加 Inventor 2027 では、スロット専用のコマンドが追加されています。プロパティパネルから寸法や形状を定義でき、穴コマンドに近い操作でスロットを作成できます。 従来はスケッチと押し出しの組み合わせで表現していた形状を、単一のフィーチャーとして扱えるようになったことで、設計履歴の可読性が向上しています。また、既存の穴からスロットへ変換できるため、設計変更にも柔軟に対応できます。 例えば、後工程で長穴が必要になった場合でも、モデルを作り直すことなく変更できるため、設計変更のコスト削減につながります。 また、スロットは図面の穴テーブルやセンターマークとも連携しており、モデルから図面まで同一の意味を持つデータとして扱える点も重要です。 APIの観点では、これまでスケッチベースで扱われることが多かったスロット形状が、Inventor 2027 では専用コマンドとして明示的なフィーチャーとして定義されました( Placed Feature Enhancements)。 このスロットはブラウザノードとして管理され、穴からの変換やパラメータ定義が可能であるほか、図面においても穴テーブルやセンターマークと統合されています( Drawing Style Enhancements)。 これにより、単なるスケッチ形状ではなく意味を持ったフィーチャーとして扱えるようになり、形状認識や属性取得の扱いがシンプルになることが期待されます。 アセンブリ:再利用性と設計意図の強化 コンテンツセンターの拡張 アセンブリをコンテンツセンターのユーザーライブラリに公開できるようになりました。 これにより、単体部品だけでなく、サブアセンブリ単位での再利用が可能になります。例えば、よく使うユニットや標準構成を登録しておくことで、設計の立ち上げ時間を短縮できます。 テンプレートの置き換えにも対応しているため、企業標準の変更にも対応しやすくなっています。 APIの観点では、今回の変更によりアセンブリ単位での再利用が UI 上で可能になった点は興味深く、今後の自動化の粒度を考えるうえで重要な変化と言えます。 現時点で公開されている API リファレンスでは、Content Center からアセンブリを直接挿入する専用 API は明確ではありませんが、アセンブリ実体を既存ファイルとして扱える場合には、通常のサブアセンブリ配置 API を利用した自動化への展開が考えられます。 コンポーネントパターンの強化 スケッチラインを使用して、パターン方向や軸を定義できるようになりました。…

  • Inventor 2027リリースとAutodesk Assistantテクニカル プレビュー

    Inventorの新バージョンとなる、Inventor 2027 がリリースされました。この記事ではInventor 2027の概要とAutodesk Assistantテクニカル プレビューについてご紹介をいたします。 Inventor 2027のAutodesk Assistantでは、設計データと自然言語でやり取りする新しいインターフェースを提供します。 これによりInventor 2027では、設計データに対して“直接質問する”という新しいインタラクションが可能になり、従来の操作中心のワークフローから大きな変化が生まれつつあります。 本記事では、その具体的な仕組みと活用方法を見ていきます。 Inventor 2027 リリース システム要件 サポートされるプラットフォームは、Windows 11 の 64 ビット版となります。 詳細なシステム要件については、オンラインドキュメントの「System requirements for Autodesk Inventor 2027」以下のページをご参照ください。 アドインの互換性 Inventor 2027は、2026以前の.NET 8から.NET 10へ移行をしております。 Inventor 2024以前のInventor SDKを用いた.NET Framework 4.8 ベースのアドインプロジェクトは.NET 10 へアップグレードして再ビルド。 Inventor 2025、2026の.NET 8ベースのアドインプロジェクトは.NET 10 をターゲットにして再ビルドする必要があります。 .NET Framework 4.8から.NETへの移植についてはInventor 2026のオンラインのAPIリファレンス「Port .Net Framework-based project to .Net」に移植手順が記載されておりますのでご参照ください 図面の互換性…

  • APIカスタマイズでInventorのコマンドを利用したい

    InventorのAPIを用いたカスタマイズ処理からInventorのコマンドを実行することは出来ないか?というお問い合わせが時折あります。APIが公開されていないが、コマンドでは提供されている機能を実装したいなどの場合に回避としてコマンドを実行したい場合や、処理を自身で開発する必要がない等、様々な動機があるかと思われます。 そこで今回は、InventorのコマンドをAPIから実行する方法について解説をしたいと思います。   APIからコマンドを実行する方法 結論から申し上げますと、InventorのコマンドをAPIから実行することは可能です。例として以下は「スケッチライン」コマンドを実行するVBAのサンプルコードとなります。 InventorのAPIでは、Inventorのコマンド(デフォルトのコマンドやアドインで作成したコマンド)は全て、ControlDefinition オブジェクトとして表されております。コマンドを実行したい場合、コマンドに対応するControlDefinition オブジェクトを取得し、取得したControlDefinition オブジェクトのExecute()メソッドを実行するだけです。 Public Sub RunLineCommand() ‘ Get the CommandManager object. Dim oCommandMgr As CommandManager Set oCommandMgr = ThisApplication.CommandManager ‘ Get control definition for the line command. Dim oControlDef As ControlDefinition Set oControlDef = oCommandMgr.ControlDefinitions.Item( _ “SketchLineCmd”) ‘ Execute the command. Call oControlDef.Execute End Sub   コマンド名の取得方法 サンプルコードを見ていただくと、CommandManagerオブジェクトからControlDefinitionオブジェクトを取得する際にコマンド名を指定しています。すべてのControlDefinitionは、自身を識別するための一意の名前(=コマンド名)を持っています。では、APIから実行したいコマンドのコマンド名は、どのようにして特定すればよいでしょうか? コマンド名の特定方法は大きく2つあります。一つ目は以下の様なVBAコードを実行する方法です。以下のVBAコードを実行するとC:\tempフォルダ配下に、CommandNames.txtというファイルを出力します。ファイル内にはコードの実行時にInventor内に登録されているすべてのコマンド名とその説明が出力されます。…

  • 「Visual StudioでInventor アドインテンプレートが出てこない」そんな時は

    Inventor SDKには、Visual StudioでC#やVB.NETを使ったアドインの開発時に便利な、プロジェクトテンプレートが含まれております。 プロジェクトテンプレートは、InventorのSDKフォルダ( C:\Users\Public\Documents\Autodesk\Inventor XXXX\SDK) 配下のdevelopertools.msiをインストールするとことでインストールされ、Visual Studioからプロジェクトの新規作成時にテンプレートを選択することが出来るようになります。 時折、Visual Studioでこのプロジェクトテンプレートが表示されないというお問い合わせをいただくことがありますので、本記事では対処方法についてご案内をしたいと思います。   通常developertools.msiをインストールすると、Visual Studioのテンプレートファイルは %USERPROFILE%\Documents\Visual Studio 2022\Templates\ProjectTemplates 配下に展開されます(Visual Studio 2022の場合)。 一方で、Visual Studioは設定によりテンプレートフォルダの場所を任意に変更することが出来ます。設定はVisual Studio 2022では、[ツール]-[オプション]からオプションダイアログを開いて、ダイアログの左のツリーで「プロジェクトおよびソリューション」-「場所」を選ぶと「ユーザテンプレートの場所」で確認できます。 「ユーザテンプレートの場所」が、%USERPROFILE%\Documents\Visual Studio 2022\Templates\ProjectTemplates ではない場所に設定されている場合、Visual Studioはdevelopertools.msiが展開したテンプレートを見つけることが出来ずに、プロジェクトの新規作成時の一覧に出てこない状態となります。 対応方法は、この「ユーザテンプレートの場所」で指定されているフォルダ配下に、%USERPROFILE%\Documents\Visual Studio 2022\Templates\ProjectTemplatesフォルダ配下のテンプレートファイル(VBInventorAddInTemplateXXXX.zip、VCSInventorAddInTemplateXXXX.zip)をコピーした後に、Visual Studioを再起動することで、プロジェクトの新規作成時にテンプレートファイルが選択できるようになります。 なお、developertools.msiをインストールするとプロジェクトテンプレートのほかに、サンプルコードやEventWatcherなどのツールも併せてSDKフォルダ配下に展開されますので、アドイン作成のサンプルコードが欲しいといった場合にはご活用ください。 By Takehiro Kato