データ駆動型 AEC ワークフローの実現

建築、エンジニアリング、建設(AEC)業界では、長い間、デザイン情報を保存・共有するために「ファイル」に依存してきました。この場合、課題は最終的にチームがファイル内のデータにどのようにアクセスし、活用するかにかかっています。実際には、これらの貴重なデータの多くは RVT や DWG のような特定形式のファイルに閉じ込められており、プロセスの自動化、モデルの分析、クロスプラットフォームワークフローの実現が困難な状況です。

AEC Data Model は、クラウド上の粒状化、構造化データへの直接アクセスを実現することで、このパラダイムを変え、自動化、インテリジェント分析、AI 支援設計、プロジェクト ライフサイクル全体にわたる意思決定の効率化の基盤を築きます。

データをエクスポートしたり、各プロジェクト毎にカスタム統合を構築する代わりに、API を介して信頼、構造化され、接続されたデータにアクセス出来るようになりました。この変化は新たな可能性を開きます。ワークフローはもはや面倒なエクスポートや古いファイル コピーに頼ることはありません。今では、必要な情報を正確に AEC Data Model に即座に、そして確実にクエリーするだけでよいのです。

今日の可能性

AEC Data Model API を使うと、ユーザーは Autodesk Forma(旧名 Autodesk Construction Cloud)に保存されている Revit 2024 以降の粒状されたモデル データと直接対話することが出来るようになります。主な特徴には、次のような機能が含まれます。:

  • Autodesk Forma のプロジェクトやデザイン モデルのブラウズ
  • 特定の要素、パラメータ、プロパティ値をクエリー
  • カテゴリまたはプロパティでデータをフィルタリング
  • モデルの異なるバージョン間での検索
  • モデルの 2 つのバージョンを比較

これら機能によって、様々な利点が開かれます。例えば、チームはパラメータの欠落、不整合、調整の問題を即座にモデルにレビューすることで、品質チェックを自動化することが出来ます。最新の数量や見積もりをソースデータから直接取得することで、リアルタイムでの積算と報告が可能になります。さらに、API は軽量なWeb アプリの作成をサポートしているので、デザイン ソフトウェアを持たないユーザーでもモデルデータを探索・比較出来るようになり、分野を問わず BIM へのアクセスを民主化します。

さらに、接続されたワークフローに新たな可能性を解き放つ最新機能が公開されています。

モデルを超えたデータの拡張

プロジェクトが複雑になるにつれて、プライマリ モデルの外に存在する情報の管理ニーズが高まっています。コスト データ、サプライヤーの詳細、物流情報、運用データはすべて不可欠ですが、これらをオーサリング ツールに強制的に組み込むとモデルが扱いにくくなり、ワークフローが脆弱になることがあります。Revit、Forma Data Management(旧名 Autodesk Docs)、 AEC Data Model API の次期リリースでは、拡張プロパティをサポートすることでこの課題に対応する予定です。

現在、チームは AEC Dat Model API を通じて、設置バッチ番号や製造 ID などの重要なデータを作成可能です。これらのプロパティは Forma Data Management にデータセットとして保存され、Revit モデルに直接リンク出来ます。ユーザーはこれらのプロパティをスケジュールやレポートで閲覧・利用して、設計データと製造、コスト見積もり、ERP、PLM ソフトウェアなどの後工程システムとシームレスな連携を生み出します。これらは主要なツールを変更したり、既存のワークフローを乱したりすることなく実現できます。

プログラムでモデル ジオメトリへアクセス

ジオメトリ(幾何情報)は、デザイン、モデル コーディネーション、そして下流の AEC プロセスの基盤です。AEC Data Model AP Iは、現在 Public Beta 中のData Interoperability SDK と組み合わせることで、構造化されたジオメトリ データへの直接アクセスを可能にします。開発者や上級ユーザーは次の実現が可能です。:

  • 1 つ、または複数のモデル要素のジオメトリをクエリーおよび取得
  • 解決済みのジオメトリ表現をバイナリ データとしてアクセス
  • 要素原点とインスタンス軸を抽出して正確な位置決めを実施
  • 変換データを保存して 3D 空間での正しい配置を維持

これら機能により、空間検証、コーディネーション チェックの自動化、製造用のジオメトリ抽出などのワークフローが大幅に効率化されます 。チームは、Revit を開いたり、ファイルをエクスポートしたりすることなく、リアルタイム解析を実行したり、部屋データを生成したり、コンポーネントの形状を抽出したりすることが出来ます。

透明で予測可能な API 利用

API 利用を拡大するユーザーを支援するため、オートデスクは透明でスケーラブルな利用モデルを導入しました。API の活動は 5つ の明確なカテゴリーに分類されています。

  • 管理:認証、フォルダの閲覧、フィルターの適用
  • データの入力:データの書き込みとインポート
  • オートデスク プラットフォーム内:オートデスク クラウド製品間の相互作用
  • データアウト:外部システムへのデータエクスポート
  • 変換:データを他の形式に変換すること

管理、データのインポート、オートデスクのクラウド製品間でのデータ移動など、ほとんどの作業は無料です。現在、「データアウト」(外部プラットフォームへのエクスポート時)と「トランスフォーメーション」にはコストがかかり、ユーザーはオートデスク ソリューション以上の追加価値を得た場合にのみ料金を支払います。

API の使用は製品サブスクリプションに含まれており、製品ごとに許容範囲が異なります。例として、AEC Collection:50MB/月、Navisworks Manage:25MB/月です。また、解決策を探求したい開発者向けの無料版もあります。料金や控除の詳細は、ブログ記事 APSは進化を継続:サブスクリプションに Data Model API を加えて柔軟な拡張方法を提供 でご覧いただけます。

大規模での効率化

APIはデータへのアクセスだけを提供するわけではありません。必要なデータをターゲットにすることができます。このデータをターゲットにしキュレーションする能力は、モデルの規模と複雑さが増す中で重要な違いとなります。

Revit 2026 時、サンプルの Revit モデルである Snowdon Towers のファイルサイズは 90MB です。モデル全体をエクスポートする代わりに、API を使ってターゲットを絞った特定の関連性の高いデータを取得出来ます。例えば:

  • すべてのドアに関する詳細なデータは 1.55MB です。
  • すべての窓に関する同じデータが 1.12MB です。

このモデルの完全なエクスポートからターゲットを絞った粒状データへの移行により、転送・処理される情報量は劇的に減少します。

なぜ重要なのか

AEC Data Model API は、ファイル駆動型からデータ駆動型ワークフローへの根本的な転換を示しています。ファイル内の構造化されたデータを解放し、信頼できる API を通じてアクセス可能にすることで、チームは時間を節約し、生産性を向上させ、ルーチンタスクを自動化する能力を得られます。API の透明な価格設定と利用量の閾値は、日常的なワークフローをコスト効率よく保つとともに、より豊かでつながったデータの提供を促進します。最終的に、このアプローチはユーザーの手にコントロールを委ね、プロジェクト ライフサイクル全体を通じてイノベーションと協働の新たな機会を開きます。

引き続きご注目ください

AEC Data Model パブリックベータに参加して、Data Interoperability SDK を使った高度なメモリ内幾何学機能を探求しましょう。さらに、AEC Data Model から IFC を生成するなどのベータ機能もご検討ください。

最新情報を把握するには:

※ 本記事は From Files to Data: Unlocking Data-Driven AEC Workflows with the AEC Data Model APIs | Autodesk Platform Services から転写・意訳・補足したものです。

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